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海事Q&A Q&A
海事に関するよくある質問
- 商法(運送・海商)改正要綱⑥ 海難救助法は
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- 1 任意救助及び契約救助
- ⑴ 商法の適用
日本は1910年の海難救助条約を批准しており、援助船と被援助船のいずれもが締約国に属する場合は同条約が直接適用されます。その後1989年に、環境保護等の観点を加えた海難救助条約が成立していますが、日本は批准していません。
商法は、日本の裁判所で全ての利害関係人が日本に属する場合や、被締約国に属する船舶の救助の場合に、適用されます。 - ⑵ 任意救助及び契約救助
- ア 商法800条は、船舶又は積荷の全部又は一部が海難に遭遇した場合に、義務なくしてこれを救助した者は、その結果に対して相当の救助料を請求できる、と定めていますが、これは任意救助を想定したものです。
しかし、同条の「義務なくして」の意義が曖昧なこと、1989年救助条約は契約救助も想定していること、また、実際には救助業者による契約救助が大半で標準書式が使用され、実務と法律が乖離していること等から、契約救助にも適用される条項が提案されました。
要綱では、「船舶又は積荷の全部又は一部が海難に遭遇した場合において、これを救助した者があるときは、その者は、契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して相当の救助料を請求することができる。」とされました。 - イ また、1989年救助条約に沿って、「船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有する。」との条項も追加されました。
これは、迅速な救助契約締結が求められ、また、船員の退船も考慮し、船舶所有者にも同様の権限が求められるためです。
- ア 商法800条は、船舶又は積荷の全部又は一部が海難に遭遇した場合に、義務なくしてこれを救助した者は、その結果に対して相当の救助料を請求できる、と定めていますが、これは任意救助を想定したものです。
- ⑴ 商法の適用
- 2 救助料の額
- ⑴ 商法801条は、救助料につき、特約がない場合に額に争いがあるときは裁判所が決定することを定めていますが、1989年救助条約13条で、救助報酬決定の基準に、「環境損害を防止軽減するための救助者の技能及び努力」を追加しています。そのため商法801条でも、その斟酌事情の「救助のために要した労力及び費用」に、海洋の汚染の防止又は軽減のための措置を加えることとされました。
- ⑵ 商法803条は、救助料の特約がない場合に、救助料の額は救助された物の価額が上限とされていますが、その価額には救助された積荷の運送賃の額も含むものとされました。
- 3 債権者間における救助料の割合
- ⑴ 商法805条の救助に従事した船舶の救助料については、その3分の2を船舶所有者に、その3分の1を船員に支払うものと、整理、改定されました。
そして、これに反する特約で船員に不利なものは、船員保護の点から無効とされました。また、上記の割合が著しく不相当な場合は、船舶所有者又は船員はその増減を請求でき、その場合は裁判所が決定することとされました。 - ⑵ 各船員に支払うべき救助料の割合は、救助に従事した船舶の船舶所有者が決定する(争いがあれば裁判所が決定)こととされました。
- ⑶ 救助者が、救助を業とする者であるときは、事業として救助を行うことから、救助料の全額を救助者(元請の業者)に支払わなければならないとされました。
- ⑴ 商法805条の救助に従事した船舶の救助料については、その3分の2を船舶所有者に、その3分の1を船員に支払うものと、整理、改定されました。
- 4 船長の法定代理権及び法定訴訟担当
- ⑴ 商法811条1項は、救助された船舶の船長は、救助料の債務者(積荷所有者等)のため、その支払に関する法定代理権を有し、また、法定訴訟担当として訴訟当事者になることができるとされていますが、任意救助の場合に、この現行法の規律が維持されます。これに対し、契約救助の場合は適用されません。
- ⑵ 上記条項は、救助に従事した側の船舶の船長にも準用されます。
- 5 海洋環境の保全に係る特別補償料
- ⑴ 1989年救助条約14条は、救助者が環境損害を生じさせるおそれのある船舶の救助をした場合は、いわゆる不成功無報酬の原則が妥当する救助料とは別に、環境保全の点から、船舶又は積荷等の救助の成功の有無を問わず、救助者に特別補償の請求権を認めています。
これは船舶からの油の排出等による海洋汚染の増加、被害の甚大さを背景に、そのような救助に従事した者の支出費用の填補を可能として、海洋汚染防止を促進しようとするものです。
要綱では、海難に遭遇した船舶から排出された油等で海洋が汚染され、海洋環境の保全に著しい障害を及ぼし、若しくは人の健康を害し、又は障害を及ぼすおそれがある場合に、船舶救助に従事した者が、当該障害の防止又は軽減のための措置を取ったときは、特約がないときは、船舶所有者に対し、当該措置として必要又は有益であった費用(「特別補償料」)の支払を請求できる、とされました。 - ⑵ 上記の救助者が、上記の環境に対する障害を現実に防止、軽減したときは、特別補償料は、当事者の請求により、裁判所の決定で、原則として支出額の3割までの範囲で増額可能で、逆に、救助者の過失により不成功となった場合は、特別補償料は減額されえます。
また、この救助者が同一の海難で救助料債権を有するときは、特別補償料の額は当該救助料の額を控除した額とされます。
- ⑴ 1989年救助条約14条は、救助者が環境損害を生じさせるおそれのある船舶の救助をした場合は、いわゆる不成功無報酬の原則が妥当する救助料とは別に、環境保全の点から、船舶又は積荷等の救助の成功の有無を問わず、救助者に特別補償の請求権を認めています。
- 6 消滅時効
商法814条は、救助料債権の時効は、救助の時から1年とされていますが、両条約は救助の作業終了日から2年としています。それで、要綱ではこれに沿って、救助料又は特別補償料債権の時効は、作業終了時から2年とされました。
- 7 船長の法定代理権及び法定訴訟担当
現行商法では非航海船、又はその積荷等の救助に関する規律はないため、それらにも準用されるものとされました。
- 1 任意救助及び契約救助