海事Q&A 外航船の海上物品運送人の責任に限度はあるのか

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海事に関するよくある質問

外航船の海上物品運送人の責任に限度はあるのか

 民法上、損害賠償の額は債務不履行と相当因果関係のある損害の範囲で決められ、通常損害の他に転売利益等の特別損害が含まれます。そのため、海上運送人の過失で運送品の滅失や毀損があった場合も、一切の損害を賠償する義務があることになるはずです。
 しかし、大量の運送品を低廉な料金で扱う海上運送企業にとって、このような場合に、多額の賠償を求められたり、荷受人等の請求権者ごとに特別損害を個々主張されると、経済的負担が非常に大きく、また賠償額の算定を巡って紛争が長引くことになります。
 そこで、外航船の場合、国際海上物品運送法で、賠償額が原則として契約上の荷揚予定地及び予定時における運送品の市場価格によって定められ、特別損害を除外する方向で定型化されています。それだけでなく、一定の責任限度額まで設定されています。
 ただ、運送人の責任が重い場合にまでそのような制限を設けることは公平に反します。そのため、損害が、運送人自身の故意又は損害発生のおそれを認識しながらした無謀な行為により生じたものであるときは、責任制限の適用はなく、運送人は一切の損害を賠償する責任を負います。

※ ちなみに、フランス法でも、損害を生じさせる意図をもって、又は無謀にかつ損害の生じるおそれがあることを認識して行った運送人自身の作為又は不作為により損害が生じたことが証明された場合は、責任制限を主張できません(運送法L5422-14条1項1号)。両国ともいわゆるヘーグ・ウィスビー・ルールズを批准しており、同様の規定になります。
 他方、国際航空運送で適用されるモントリオール条約でも、責任限度額が設けられ、旅客の延着、手荷物の損害については類似の責任制限排除の規定があります(22条5項)。しかし、航空貨物の損害については、たとえ故意の場合でも責任限度額は破られません。